大判例

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大阪地方裁判所 昭和45年(わ)891号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(一部無罪の理由)

本件公訴事実中、道路交通法(救護義務)違反の点は、「被告人は、前記判示第一の日時場所で、交通事故を惹起したのに直ちに負傷者の救護等法令の定める必要な措置を講じなかつた。」というものである。

しかしながら、前掲中西繁の司法巡査に対する供述調書、被告人の司法警察職員に対する供述調書、証人中西繁、被告人の当公判廷における各供述を総合すれば、「被告人は、本件交通事故を惹起するや、直ちに路上に自転車もろとも転倒している被害者中西繁に馳け寄り、同人を抱き起していたところ、偶々同所を通りかかつたタクシーが停車し、同車の運転手が乗せて行つてやろうと声をかけてくれたので、被告人は、右運転手らとともに中西をタクシーの後部座席に運び入れたこと、そしてタクシーの運転手が被告人に「野川病院に連れて行くから、お前後から来いよ。」と云いおいて、中西を守口市北寺方にある野川病院に運び、中西は同病院で診療を受けたこと、一方、被告人は、後から病院に赴こうとは思つたものの、本件交通事故が無免許運転中の事故であるため発覚をおそれ、病院に赴かず、そのまま原動機付自転車を押しながら帰宅してしまつたこと、中西は事故当日野川病院で診療を受けた後、警察官とともに事故現場に戻つたが、同人の自転車は道路端のガードレールに立てかけられてあつたこと、」以上の事実が認められる。右認定事実によれば、なるほど、被告人は、本件事故後、被害者の運ばれた病院に赴き、同人の負傷の程度等の確認はしていないけれども、偶々、事故現場を通りかかつた第三者の好意によつたものであれ、被告人自らも被害者を病院に運ぶまでの措置を講じているのであつてみれば、本件交通事故による負傷者の救護措置は尽されたものというべく、被告人に対し、もはや、右救護義務違反を問うことはできないと解するし、また、被害者の自転車を路上に放置し、交通の妨げになるようにした形跡もなかつたのであるから、道路における危険防止に必要な措置を講じなかつたと断ずることもできない。以上の次第で、結局、本件公訴事実については、犯罪の証明がないことに帰するので、刑訴法三三六条に則り無罪の言渡をすることとする。

(坂詰幸次郎)

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